水圏環境工学研究グループ

HYDRAULIC & HYDRODYNAMIC LABORATORY

INSTITUTE OF ENGINEERING MECHANICS & SYSTEMS

UNIVERSITY of TSUKUBA

TSUKUBA, IBARAKI 305-8573, JAPAN

Dr. Harumichi KYOTOH
京藤 敏達


水圏環境工学研究グループでは、武若教授・羽田野准教授・白川准教授の各メンバーがお互いの専門知識を生かして協力して、研究室を運営しています。


担当講義

確率・統計(工学システム学類2年次)
流体力学(工学システム学類2年次)
応用数学(工学システム学類3年次)
流体力学特論U(構造エネルギー工学専攻 大学院)




指導学生

システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻の博士後期課程1名、前期課程4名、工学システム学類4年次3名が研究配属されています。



流体力学

 水や空気に色を付けその運動を観察すると、水や空気は引き伸ばされたり、折り畳まれたり、回転しながら移動していることが分かります。実際に色を付けなくても、水や空気のある部分がどのような運動をするかを頭の中で描くことが出来ます。もっと一般的に流体のある要素(流体要素)の運動を考えることが出来て、その運動はもちろんニュートンの第2法則に従います。ところが、流体の場合には、流体要素(A)はその周辺の流体要素から力を受けるので、周辺の流体の運動が決まらないと流体要素Aの運動を予測することができません。また、流体は空間に連続して存在しているので、無限個の流体要素の運動を決めない限り、流体要素Aの運動を予測することはできません。また、この相互作用の力は各々の流体要素の位置や速度の非線形の関数となるため解が複数個あって、様々な運動が現れることが推察されます。実際、大気、海洋、陸域の水や空気の流れはカオス的であり決定論的に予測するのは困難です。
 流体力学を学ぶとオイラーの運動方程式とかナビエ・ストークスの運動方程式というのが出てきます。先程ご説明したように流体の運動はニュートンの第2法則に支配されるので、オイラーの運動方程式もナビエ・ストークスの運動方程式もニュートンの第2法則、d(mv)/dt=F、から導かれています。この運動方程式は、非線形偏微分方程式となり、様々な現象を記述することが分かっています。逆に言うと、現象を予測することが難しいということになります。

 ここでは、流体現象を利用したもの作りについて、研究例を挙げて説明します。



流体現象の工学への応用

現在の研究のあらましについて述べさせていただきます。

2006年に始めたマイクロバブル発生装置の研究は、発生ノズルの特許取得、実用化(筑波大学発ベンチャー)へと進めることができ、現在は下記研究テーマで述べる泥水処理、土壌洗浄、水銀チャネルへの応用に至っています。ただ、実用化に重点を置き過ぎたため、研究論文としてまとめる時間をもてなかったことは残念でした。今後時間が許せば、マイクロバブル生成に伴う音波については研究を整理したいと考えています。関連して、気泡が絡んだ面白い問題としては、液体中における気体カーテンの生成方法で、現在検討中です。

 2008年には、印刷会社の支援を受けてカーテンコーティングに関する研究を始めました。液膜カーテンをガラス板などの基材表面に空気を排除して置くことにより機能を持った素材(カラーフィルターなど)を生成することができます。この研究開始以前は、自由落下水膜の安定性や微粒化などを研究してきましたが、実用面につなげることは困難でした。現在は、液膜カーテン(厚さ100μm)の流れで、特に表面張力が卓越するときの現象に非常に興味を持っています。何とか実用化できそうな次のステップに持っていきたいと考えています。

 2011年の大震災後は、福島第一原発の事故により生じた放射能汚染土壌の洗浄について、建設会社と共同研究を行なっています。土壌の湿式洗浄により汚染土壌中の粘土を分離除去することで、放射能を8割程度低減し再生土として利用することが提案されています。ただ、粘土を減容化するには篩分け、凝集沈殿、フィルタープレスなどの工程を経る必要がありコストが掛るため、除染ガイドラインでは表土の剥ぎ取りと保管のみが求められています。そこで、減容化を可能な限り簡易に行なう方策について研究を始めました。

 以上のテーマは異業種に跨りますが、基本的には液体中の気泡・固体粒子の運動、気体中の液体膜の流れに関するもので、流体力学の知識を応用して臨むことが出来ます。


研 究

 以下の基礎的な課題を考えています。

 ・懸濁液の流体力学的分級・分離・沈降方法に関する研究 → 1. 放射能汚染土壌の除染に関する研究

 ・管路内における気泡の滞留に関する研究 → 2. 水銀チャネルにおける気泡カーテンの生成方法に関する研究

 ・表面張力が支配的な液膜カーテンの固体壁への架橋に関する研究 → 
5.カーテンコーティングに関する研究